焼肉「南月」:
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270306/27057224/
これまで仕事やプライベートで何千回と訪れてきた大阪の下町、今里で見つけた良質な和牛が輝く名店です。
前半はいくつかのお肉を立て続けに、それぞれの食感や味の個性を愉しみます。
まずセンマイの軽快な食感でお口のエンジンに点火しましょう。
薄いごま油のヴェールを纏った歯応え際立つセンマイに、爽やかなレモンを絞っていただきます。2口目からは特製のチョジャンを付けて。
そしてタン。「特撰牛タン」と「上牛タン」がありますが、「上牛タン」でも十分に美味しいので、そちらを。噛めば噛むほどお肉の味わいと食べる喜びが溢れてきます。
歯応え豊かなお肉達でお口を元気付けたら、柔らかなロースを。柔らかく舌の上で溶けゆくお肉。その脂は嫌味のかけらもなく体の中に染み込んでゆきます。まるで最初から私の一部だったのでは? と感じる程……
「南月」のタレは透き通っていてさらりとしているのが特徴。良質なお肉そのものの味覚に胸がいっぱいになります。
イカフェも食べましょう。新鮮なイカのお刺身に大根と甘辛い韓国風のフレーバーが食欲を加速させます。
さて、ここでいよいよハラミとツラミに参ります。下味がしっかりと付いているので、ここからは白米に参加してもらいます。
今回はサンチュはいただきませんでしたが、あるとなお一層バリエーション豊かなマリアージュを楽しめると思います。
一通りのお肉をいただき、締めは冷麺です。
お酢をた〜っぷり、時間にして15秒程入れます。こうすることで味が大変引き締まり、今回のディナーのクオリティーをトータルで上げることが出来るのです。
まずスープを数口すすり、麺をいただきます。
意志的な麺。まるで麺が知能を持って、生きているようです。でも構わず食べます。お酢が胃袋を、体を引き締め、体全体を浄化していくような感覚に襲われます。
いかがでしたでしょうか。
今回、食事を振り返りながら記事を書いていて、なかなか言葉が思うように出てきませんでした。
なぜだろう? と考えていて、私が素材としてのお肉の力に圧倒されているからだと気付きました。
「南月」では全てのお肉が高いレヴェルを持っています。そして、調理、味付けなどは全てお肉の底力を引き出すための脇役に徹しています。お肉の力を知っているからこそ、脇役としてベストな存在の仕方も知っている。ここに、肉を焼いて食すという根源的な命の営みを極限にまで昇華させたレストランの姿があると感じました。
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