ANAとJAL、CAの違いを比較①性格編

ANAの飛行機から見たJALの飛行機 CAの仕事

「ANAグループとJALグループの違い」ーこれまで、利用者としても就職活動生としても、同業界で働く者としても関心を持ってきたテーマです。今回は、両社CAの性格の違いを歴史や実体験を交えながら書いて参ります。

映画『ロッキー』のテーマが似合うANA

ANAが国際線の定期運航を始めて、30年余りが経ちました。1986年の東京ーグアム線の開設は、ANAにとって悲願だったと言います。日本航空の国際線就航が1954年のことですから、30年以上の差があるのです。
ANAが国際線を飛び始めた頃、サービスの構築には大きな苦労があったようです。模造紙でギャレーを作ってサービスの訓練を行ったとか、実際の便で管理が行き届かずシャンパンを腐らせてしまった、サラダのドレッシングの搭載が漏れておりお塩で召し上がっていただいた、などのエピソードが残っています。

私が聞いた中で特に印象深かった話は、当時の乗務員がプレハブの建物でブリーフィングを行っていたということです。JALの立派なビルを横目に見ながら、彼女達は空への思いを熱くしたことでしょう。そんな乗務員を見送る社員達は、映画『ロッキー』のテーマ音楽を流し彼女達を応援したそうです。今でもANAは新規就航地への第1便が出る時、この音楽を掛けているのだとか。

他にも楽しい逸話が残っています。例えば、機内でおしぼりを回収する際、CAが持ったカゴにお客様からおしぼりを放り投げていただいて「ストライーク!!」と叫ぶ豪傑なCAがいたなど。そんな飛行機、乗ってみたいものですね。

パワフルな遺伝子は、今のCAにも受け継がれています。ANAの便に搭乗する時、ドアサイドに立つCAから並々ならぬ気迫を感じることがよくあります。「第一印象が勝負」ということをわきまえているのです。

お客様から見えないところでも、先輩・後輩間の目標の共有、こまめな報告の実施、入念なフライトの準備と振り返りなど、最高の機内を作るために手を抜きません。

また、毎年「OMOTENASHIの達人コンテスト」を開催することで、CA一人一人の個性をチームで共有しようと取り組んできました。コンテスト自体は会社の取り組みですが、実際に搭乗しても「人柄を感じるCA」が多いように思います。

余談ですが、空港においては、勤務後スタイリッシュなキャリーケースを引いて、ほどいた髪をかき上げながら颯爽と帰路についているイメージがあります。

長い歴史の中で変化を遂げてきたJAL

1951年に創立された日本航空は、長い歴史の中で常に時代の先駆者でした。世界一周路線の開設、1984年には国際線輸送量において世界第1位など、華やかな歴史があります。
一方で、大きな事故経営の破綻といった忘れることの出来ない過去を背負っている会社でもあります。その教訓を企業理念やJALフィロソフィーと呼ばれる聖典に生かし、現在も進化し続けています。

個人的な話にはなりますが、私自身子どもの頃からJALの飛行機には夢を、そしてJALのCAには憧れを抱いてきました。
ある便にて、CAが離陸前に背もたれを倒しているお客さまに向かって、「背もたれを戻してくださーい!」と自席から叫んだシーンを今でも覚えています。文字にすれば「お客さま、恐れ入りますが背もたれをお戻し下さい」などと言った方が丁寧なはずですが、そのCAの叫び方そのものが、言葉では説明出来ない程の気品と思いやりに満ち溢れていました。「丁寧な言葉」をただ遣うだけでは心は表現出来ないのだと感じた経験でした。

そんなマニュアルには書き記すことの出来ないプロとしてのあり方、立ち居振る舞いがJALのCAには脈々と受け継がれています。

最近の採用活動においては、受験する人の心性が何よりも重んじられ、感謝の心を持っている人か、会社と共に謙虚に精進していける人かが確かめられているという印象があります。
機内においても、「お客さまが主役」という考え方が根底にあり、お客さま一人一人の様子を見ていないようで、そっと見ている。そんなスタイルでサービスを行っています。

国内線においては、CA一人一人が出身地など縁(ゆかり)のある都道府県を示す「縁都道府県バッジ」を胸に付け、お客さまへ観光情報を伝える手掛かりにするなど役立てています。「日本への恩返し」「お客さまとの絆作り」を大切にするJALらしい取り組みです。

(※2020年8月現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のためバッジの着用は中止されています。)

CA同士の関係については、新人からベテランまでが一つのチームとして和やかな雰囲気の中で協力し、便の運航が終わるまでを見届ける。そんな落ち着いた関係が多いのが特徴です。

余談ですが、空港においては柔らかな衣装ケースを手に提げ、いつも少しお辞儀しているような、控えめな佇まいで通勤しているイメージがあります。

まとめ〜個性豊かな日本のエアライン〜

ここまでANAグループ、JALグループのCAについて書いて参りました。CAは本来一人一人個性を持っているはずですが、機内に入ると各航空会社のあり方を体現するような存在になる点が面白いところですね。

さて、私は国内移動時にスターフライヤー、ソラシドエア、AIR DO、フジドリームエアラインズ、ピーチ……といった各航空会社の飛行機に乗ることも好きです。

日本は四季に恵まれた国ですが、同様に多彩なエアラインに恵まれた国でもあると思います。

SFJのスタイリッシュなCA、大人っぽい雰囲気の機内。
ソラシドエアの心温まる、オーガニックテイストのサービス。
ピーチの親しみ易く溌剌としたクルー。 ……

サービスポリシーは違えど、どのエアラインのCAも誇りを持って働いているように私には見えます。ポリシーが違うからこそ、それぞれのくつろぎの形があり楽しいのです。

どの航空会社に入ったとしても、私ならきっとそのカラーを楽しみながら働けるかな……そんなことを思う機内でした。

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