最近福岡に行く時には必ず訪れるカフェがあります。薬院にある「ABBEY」です。
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400104/40041486/
こちらは一言で言えば、「多国籍の類稀なるハーモニー」を味わえるお店。
まずお店に立ち入った瞬間にわくわくするような、それでいて居心地が良い不思議な感覚を覚えます。よく見ると、インテリアの一点一点が不思議な組み合わせです。西海岸風の飾りがあったり、スペイン風の小物があったり、そうかと思えばガラスのサンキャッチャーがあったり、地元の神社のお守りがあったり……ですが、全体として調和しています。
そのセンスはお料理にも存分に表れています。
まずは名物の「キューバサンド」。
微かな野性味と圧倒的な旨味あふるる豚肉にマスタードと軽くスモーキーなチーズが効き、パンはあたたかく甘みがあり適度に歯応えが。特筆すべきはソースで、タバスコベースのようですがベトナム料理のソースにも似た甘辛さがあり、刻みタマネギやパプリカといったお野菜がたっぷりと加えられています。これ程の色彩豊かな素材・味を合わせておきながら、全てが調和してるという事実に言葉を失います。
続いて、日替わりの黒板メニューとして出ていた「明太子のクリームパスタ」。
まず、明太子という食材を料理の中でここまで昇華させた例を見たことがありません。まるでフレンチのようなデリケートな舌触り。口の中で卵の1粒1粒がクリームとマリアージュを奏で、踊り、儚い命を謳います。麺はもっと細くてもよいかもしれませんが、茹で加減は至上です。黒い粒々は胡椒です。
最後は1番人気のデザート、「レアチーズタルト」です。
こちらも締めにふさわしい圧倒的なクオリティ。まず、ソースが3種類お皿の上にニューヨークのMoMAに飾られているアートと見紛うような甘美な抽象を描いています。チョコレートソース、カラメルソース、ラズベリーソースのようですが、それぞれの個性ある甘み・苦味・酸味が口にする者の心を翻弄し恋に落とします。
本体も3層構造になっていますが、上からホイップクリーム、レアチーズ、タルト地と重なっており(断面を見るだけで美味しそうだと思いませんか?)、その食感、厚み、風味すべてが緻密な調整の上に構築されています。うっとりと食べ進めると最後に残されたメレンゲクッキーの食感にノックアウトされます。メレンゲクッキーは屈託のない顔でこちらを見ていますが、恐るべきデザートです。
今回はお店のシグネチャーを中心に3品ご紹介しましたが、他にもお酒に合うメニュー、ご飯もの、パフェなど、おびただしい数のメニューがありますので、何度でも足を運んでいただきたいお店です。
コメント