「普段の生活で、安全を守るために行っていることはありますか」

時計を確認する女の人 CA受験

CA仲間やパイロットと食事をしていると、食器が倒れたり床に落ちたりしないようにテーブル上の配置を何気なく整える人が多いことに気づきます。グラスや背の高いものはテーブルの真ん中に寄せたり。

こんな風に、どんなリスクが潜んでいるか考える習慣リスクに気付く感性というのは、CAにとっても大切なスキルです。
CAが行う安全の業務と言えば、緊急脱出や急病人の対応などを一番に思いつくかもしれませんが、「何かが起きた時に、状況がさらに悪化しないように対処する」のはやって当たり前のことであり、日々のフライトの中では「一見平常と思われる状態の中にリスクを見つけ、不安全な出来事を未然に防ぐ」という観点で様々な対策を行なっています。

今日はこの定番の質問の答え方について、「未然に防ぐ」という観点を踏まえつつ例を挙げます。

指差し呼称チェック

私は毎朝家を出る時に、窓の施錠、ガスコンロの火を消したこと、必要な物を持ったことを、それぞれ指差しして、また声に出しながらチェックします。盗難ですとか、火災、出先で忘れ物をして人にご迷惑を掛けることを防ぎたいと思い、この確認を習慣付けています。

既にこのような確認方法を実践されている方も多いと思いますが、ただ目で見て確認するのではなく、対象物を指差しながら「ベランダ窓、施錠OK!」といったように声に出すことがポイントです。
体を動かして、声に出して確認することで、記憶に残る確認行為になるからです。

話が逸れますが、「新人のうちは忘れ物をしないだけで合格」と言う人もいるくらい、CAにとって忘れ物というのはあってはならないミスです。社員証などを忘れるとフライトに行けず、その場で別のCAを起用する必要が発生し、会社や仲間に負担が生じてしまいます。

実際に乗務が始まってからも確認行為は付き物です。ドアに異状はないか、救命胴衣は客席に備え付けられているか、消化器に異状はないか……etc. 毎回確認します。
万が一にもないことですが、もしも飛行機の事故が起きた時、事故が起きる前の便に自分が乗務していたとしましょう(前の便というのは、「13時の便の1つ前の12時の便」の便ではなく、その機材が運航に使用された便という意味です)。「私が確認した時は機材に異状はなかった」と自信を持って振り返ることが出来るか? CAはいつも自分にそう問い掛けています。機内における確認というのはそれくらい責任の重い行為です。

指差し呼称は日常の様々な場面に取り入れることが出来ます。メールをよく送信する人であれば、こんな行為はいかがでしょう?

私は現在の業務で毎日メールを送信するのですが、必ず送信ボタンをクリックする直前に「宛先、件名、本文、添付ファイル、OK!」と指差しをしながら確認するようにしています。情報が漏れるリスクが伴う業務ですので、それを防ぐためにこの手順を踏んでおります。

これは情報漏洩のリスクに着目した行為です。

ところで、「ガスコンロの火を消したこと」の確認は、何のリスクに着目した行為だと思いますか。
「火災のリスク」ですね。そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、「このチェックは何のリスクに着目したチェックなのか」を考えるのは、確認行為を意味あるものにするために重要なことです。

「火を消したことを確認するのは、何のためですか?」と聞かれて、「火災を防ぐためです」とすぐに答えられることが大切です。
「火が燃えていると危ない感じがしますし、ガス代が無駄になりますので……」といった漠然とした答えになってしまう人もたまにいますが、そのような浅い考えでいると、テーブルの上でキャンドルが燃えていても「ガスコンロ、OK!」と言ってそのまま家を出てしまうでしょう。

これまで自分が起こしてしまった不安全な出来事を振り返り、そこにどんなリスクがあったのかを考えると、どんな確認行為を取り入れれば防げるのかを考えられると思います。
そのような発想で、あなただけの「指差し呼称チェック」を考えてみてはいかがでしょうか。

旅先のリスクに備える行為

もう一つ、「未然に防ぐ」例を挙げます。
過去に「未然に防げなかった」経験を踏まえて対策を行なっているというストーリーを話すのも、反省→改善という姿勢をアピールすることが出来てよいと思います。

私は旅行が趣味なのですが、不慣れな土地へ行く際には、宿泊先ホテルのアドレスや電話番号を英語と現地語で書いたメモを作って、自分と同行者それぞれに携帯して、はぐれた際どうするかも予め打ち合わせます。以前、治安のよくないエリアで同行した友人とはぐれて迷子になり、スマートフォンの充電もなくなって不安な思いをした経験があり、それ以来このような工夫をしています。

旅行の時には、そもそも道に迷わないようにすることが大事ですが、それでも迷ってしまうことがあるのが人生です。「道に迷うリスク」に着目した行為ならば、10分おきに現在位置を確認する、同行者と自分を鎖でつないでおく、ガイドを雇うなどがあると思いますが、ここでは「迷子になった挙句不安全な状態に陥るリスク」に着目した行為を例に挙げました。

まとめ

「安全を守るための行為」を語る上では、日常において「未然に防ぐ」という観点を踏まえ、「何のリスクに着目した行為なのか」を考えましょう。

今日紹介したような取り組みは、ただ1回やってみても意味がありません。毎日あるいは毎回必ず行うことで、どんなリスクが潜んでいるかを考える習慣リスクに気付く感性を育むことが出来ます。
また、実際に習慣化していなければ、面接で説得力を持って話をすることは出来ないと思います。

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