注)マニアックな内容です。
これまでに掲載したANA・JAL比較の記事が多くの方に読まれているようでしたので、今回は用語比較をまとめてみました。
ANA | JAL | 意味・補足 |
---|---|---|
iCad | iCo | 乗務の際に使う端末。 |
班 | グループ | 年間を通してCAの育成を行っていく10名程度の集まり。 |
班会 | GM | 定期的に開催される班やグループでのミーティング。 |
里子 | ジョイン | 班やグループのフライトに1人だけ他から参加するCAのこと。里子として乗務した方が楽しく働けるという人もいます。 |
エマ訓 | ディッチング | CAが年に1度受ける緊急時を想定した訓練。 |
習熟 | 慣熟 | スキルを十分に身につけること。「ビジネスクラスの習熟中です」のように使います。 |
お席 | お座席 | 客席のこと。些細な違いですが、ANAで「お座席」という言葉を耳にすることはないようですし、逆も然りのようです。 |
セーフティーリーダー | セーフティーコーディーネーター | その便において安全面のリスクを周知したり、目標を立てたりするCA。 |
セールスリーダー | お財布担当 | 機内販売の担当CA。 売上目標を立てたり、新商品の注意点を周知したり、実際に販売を行ったり、証票類を管理したりします。 |
B3(ビースリー) | 73(ななさん) | Boeing737型機。 同様にBoeing767型機であればB6(ビーろく)、76(ななろく)と言います。なぜか「ビーシックス」とは呼びません。 |
CP(シーピー) | CH(チーフ) | 客室の責任者。 |
Co-Pilot(コパイ) | First Officer(エフオー) | 副操縦士のことを通例こう呼びます。 |
P訓(ピーくん) | P訓(パイくん) | パイロット訓練生。 |
翼上非常口 | Overwing Exits | 翼の上にある非常口。 |
ラン(Landingの略) | レグ(Leg) | 乗務便を数える時の単位。「今日は3ラン乗務します」のように使います。 |
安全性チェック | 離着陸前安全確認 | 客室内が離着陸可能な状態になっているか確認する業務。例えばシートベルトを全員が締めているかなどがそれに当たります。 |
Able | Alpha | Aのフォネティックコード。 |
Bravo | Baker | B |
Hotel | How | H |
Golf | George | G |
サンフラン | シスコ | サンフランシスコ。 |
LAX | ロス | ロサンゼルス。 |
羽田空港 | 東京国際空港羽田 | 羽田に限らず、空港の呼び名は色々と違いますね。 |
DOM(ドメ) | DMS(ドメス) | Domesticのこと。国内線の意味。 |
INT(インター) | OVS(オーバーシー) | 国際線のこと。 |
パーサー | インチャージ | 国際線におけるクラス毎の責任者。 |
EF(イーエフ) | ST(エスティー) | 従業員割引やそのチケット。 |
つめ茶・あつ茶 | 冷たいお茶・温かいお茶 | 冷たい日本茶・温かい日本茶。 但しANAでも「つめ茶・あつ茶」を使うと注意される場合があります。 |
お客様 | お客さま | 旅客のこと。JALではひらがなを使うのがポイントのようです。 |
スリーピング | お休み | 旅客が眠っていること。その場合、食事や飲み物をお渡しできずギャレーにキープしておくため、「キープのお客様」と呼ぶこともあります。 |
パスコール | コールボタン | 座席に取り付けられているCA呼び出しボタン。 |
バリア | 手袋 | 化粧室の清掃などの際に使う手袋。 |
特別な配慮を要するお客様 | 条件付き運送旅客 | 妊娠中の方、車椅子にお乗りの方などの総称。 |
旅不慣れ | 乗り慣れないお客さま | そのままの意味です。地上係員からその情報が引き継がれた場合は、機内で安心して快適にお過ごしいただけるようお手伝いします。 |
VIP(ブイアイピー) | PRM(プロモーション) | 企業のトップなど、特に重要な旅客。 |
JPちゃん(Junior Pilotの略) | CVIPちゃん(Child VIPの略) | 単独搭乗するお子様。 |
アサーション | 確認会話 | 業務手順や状況について不明点がある場合などに、CA同士で積極的に確認を行うこと。 「アサーションなのですが…」と前置きをすれば先輩のミスも指摘しやすく、「確認会話なのですが…」と前置きすれば自分の知識不足も鮮やかに乗り切れます。 |
PRIS(プリス) | PRSN(プリズナー) | prisonerの略で被疑者といった意味。護送人と一緒に機内の最後方の座席に搭乗されます。 |
メディカルキット | メディスンキット | 機内に備えられている医薬品などが入ったキット。 |
Bread | Roll | 機内で提供するパン。 |
Last Impression | Thank You Time | 主に国際線のフライトにおいて、到着直前に旅客一人一人に挨拶を行うこと。 |
オフ | ホリ | 休日のこと。ANAでは「ホリ」と言った場合、有給休暇の意味になります。 |
キャリー | ピギー | CAが空港でよく引いているバッグの呼び方。 |
順番もバラバラで掲載してしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
私が一番印象的だったのは、ANA「サンフラン」、JAL「シスコ」というところです。二つを合わせるとちょうど「サンフランシスコ」。どちらが先に生まれた言葉なのか、歴史を探ってみたい気もします。
また新しい言葉に出会いましたら、随時追加していきたいと思います。
さて、今回の記事を書きながら思ったのですが、用語の比較ができるということは、お互いに対応する用語が存在するということなので、つまり本質的には一緒ということなのかも知れません。
むしろ、その会社にしか存在しない言葉にその会社のオリジナリティーが表れるのだと思います。いつかそんな記事も書きたいと思い、今はトピックを集めているところです。
コメント
ずいぶん前の記事の、ANA「サンフラン」、JAL「シスコ」について。JALの「サンフランシスコ」就航は1954年ですが、その後、1960年代にザ・ピーナッツのヒット曲(「サンフランシスコの女(ひと)」)の曲中で「シスコ」と歌っていたこともあり、JALや当時の日本国内では「シスコ」が一般的でした。しかし、私が1970年代に外資系航空会社で羽田空港にて勤務していた当時、同じくサンフランシスコ線を飛んでいたパンアメリカン航空やノースウエスト航空では、いずれも「サンフラン」と呼び、ビックリした記憶があります。ANAのサンフランシスコ線就航はかなり後ですので、JALへの強い対抗心やアメリカの航空会社では「サンフラン」と呼んでいたこともあり、そこに着地したのではないでしょうか。
長谷川さん
「サンフラン」はアメリカの航空会社発祥の可能性が高いのですね。歴史に思いを馳せてしまいます。面白いお話を教えていただき、ありがとうございます。